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通販商品:絵で見る十字軍物語 定価:¥ 2,310 通販価格:¥ 2,310 発売日:2010-07 販売元:新潮社 通販種別:単行本 クリエーター:塩野 七生 EAN:9784103096320 ISBN:4103096322 |
知識ゼロからマニアまで
date: 2010-07-24絵の数はおよそ100。左右2ページの見開きで、片方(左ページ)に絵が、もう片方(右ページ)にその絵のエピソードの説明と、
そのエピソードが展開した場所の地図が載っています。
挿絵は、19世紀を代表する挿絵画家であるギュスターヴ・ドレのもの。
精緻で美しい絵で、特にサラディンの挿絵には目を見張る物があります。
エピソードの説明は、フランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」の文章を下地に
塩野七生氏が書き下ろした物で、簡潔、かつとても分かりやすい物となっています。
この本一冊を読めば、知識ゼロの人でも十字軍史の要点は掴むことができるでしょう。
ただ、この本は同氏の「十字軍物語」シリーズの第一弾、入門書という位置づけですから、細かい説明などは書かれていません。
なお、十字軍史の本にありがちな「極端なキリスト教寄り」といった事もこの本にはありません。
ただ、下地の「十字軍の歴史」がキリスト教徒の筆によるものなので、ごく僅かにキリスト教寄りである事は感じられます。
しかし、気にする程の事ではないでしょう。
なによりも、絵によって具体的なイメージが掴める、というのがこの本の大きなポイントです。
知識ゼロの人からマニアの人まで、十分満足できるものと思います。
眺めて楽しい「十字軍物語」シリーズの序曲
date: 2010-07-24本書はその第1巻。シリーズの序曲として、第1〜7次十字軍、そして1453年のコンスタンティノープル陥落、1492年のグラナダ陥落と1571年のレパントの海戦を、ギュスターブ・ドレの絵、地図と平均12、3行の文章で、1話を見開き2頁で叙述する。計約100話。短時間で読める。
サラディンやテンプル騎士団隊長の凛々しさや民衆・兵士の苦しみ等を的確に描くドレの絵が見事だ。19世紀のミショーが書いた「十字軍の歴史」の挿し絵だから、モノクロ印刷でもその美しさは十分わかる。ドレの絵を紹介してくれた著者に感謝したい。
本書だけでも、戦った女性がいたこと、聖フランチェスコがスルタンの許を訪れたこと等を知った。
ただし、ドレが絵を描かなかった第6次十字軍は、フリードリッヒ2世のぼろぼろの彫像の写真を掲げ、1話に集約している。第4次十字軍はビザンチン帝国との駆け引きの説明が少ない。教皇インノケンティウス3世は全く登場しないが、序曲としてはそれでもいいだろう。
新シリーズには佐藤賢一氏の「カペー朝」が参考になりそうだ。
今後の十字軍物語に期待が高まる
date: 2010-07-26今度から十字軍の物語を始めるに際して、
19世紀に書かれた十字軍の歴史を書いた本の挿絵を取り上げ、
それらの絵と作者の解説文を記すことにより、簡単に十字軍の全史がわかる1冊となっている。
作者曰く、本作をシリーズの「序曲」として位置づけるだけあって、
話の全体像としては、素晴らしく精巧な絵と共によく堪能できる。
だが、正直良い意味で物足りない。
作者ならではの、この時代に生きる人々に対する洞察などが、
この文章ボリュームでは書ききれていないのである。
だからこそ、これらの物語が具体的に語られていく次作以降に
自然と期待が高まってしまう、素晴らしい「序曲」となっている。
多神教讃歌
date: 2010-07-27塩野七生のお話はごくごく控えめで、これから始まる目くるめく物語の序章である。塩野センセの目論見は、キリスト教とイスラム教という一神教世界のせめぎあいを描くこと、他方、我々日本人が生きる多神教の世界の心地よさである。一神教の息苦しさは、「ローマ人の物語」で何度も何度も語られてきたことであるだけに、今回は、その集大成と言っていいだろう。キリスト教でもなし、イスラム教でもなし、いずれが勝つかという高みの見物を決め込むことができるのも我々多神教世界に生きる者の特権ともいうべきことなのだ。
十字組む1096年、教皇ウルバン2世の聖地エルサレム奪還の呼びかけがそもそもの発端、いろんな人間が集まってきた、軍資金を集めるためのいろんな画策があった、いろんな戦いがあった、これらをイラストに現したのがドレ。
ドレはカトリック世界におけるベストセラーであるダンテの「神曲」のイラストも描いている。だから、キリスト教側の人間だ。彼にとっては、イスラムは悪魔の宗教。これを踏まえて読まなければ、このイラスト集の面白さはうかがい知れない。
挫折しない入門書
date: 2010-07-29まず、本の構成がいいです。見開きの左側が美しく緻密なドレの絵、右側上部に地図、下部に短文の解説という構成で、明快かつ簡潔で理解しやすいと思います。
キリスト教とイスラム教という互いに一神教であるがゆえの対立が、今もなお世界の争いの種である限り、一度は十字軍遠征について学ぶことが必要だと、改めて気付かされます。
特に、キリスト教徒よりもイスラム教徒の方が寛容な事、戦場において、両教徒の交流があった事など、非常に興味深かったです。
また、特に心に残った章は、「一人も殺さなかった十字軍」の章です。フリードリッヒが率いた第六次十字軍は、一滴の血も流さなかったのに、法王をはじめ、熱心なキリスト教徒からは認められなかったという章は、深く考えさせられました。
紙も上質な紙が使われており、まるでヨーロッパの貴重な古書を手にしているような気分にさせてくれます。
塩野氏がオペラの「序曲」と位置づけた意味が、理解できるような贅沢な入門書でした。





